期末決算で作成する損益計算書

経理担当者が期末決算時期に作成する財務諸表の「損益計算書」。「貸借対照表」と「損益計算書」の2つの帳票の関係を正しく理解することはとても重要になります。前回に引き続き、今回は「損益計算書」についてご紹介します。

損益計算書とは?

損益計算書とは、企業の損益を計算したものです。損益計算書を読むことで、その企業の業績が良いのか悪いのか、どのような状態なのかを判断できます。そのため、1年間の経営成績を示す決算書であり、構成要素を財務分析に利用するなど、経営戦略を立てる上で重要な書類です。

簡単に言えば企業に「入ってくるお金」と「出ていくお金」を示したものです。
英語ではプロフィット&ロス・ステイトメント(Profit and Loss statement)と呼ばれることから(P/L)とも呼ばれています。

前回の貸借対照表でも記載しておりましたが、企業だけでなく、青色申告をする個人事業主や農業経営者も損益計算書を作成なければなりません。

損益計算書の3つの要素

損益計算書は大きく分けると「収益」「費用」「利益」の3つの要素から成り立っており、収益から費用を差し引くことで最終的な利益を計算します。

■収益
収益とは、会社でいくらぐらいの収益が上がったかの収入を指します。売上高や会社の預金についた利息、突発的な収入、本業以外の細かな収入も全部合わせて「収益」といいます。
売上高とは、損益計算書の一番上に表示され、その会社の主たる商品やサービスの提供によって得られた売上の合計額のことで、営業収益ともいわれます。
基本的な収益科目としては以下のものがあります。
・売上高:本業の営業活動によって得られる収益
・営業外収益:本業以外の活動によって得られる収益
・特別利益:本業に直接関係のない、臨時的に発生した金額的にも大きな利益

■費用
得た収益のうち、使った費用はいくらかを示しますが、原価と費用は少し意味が異なります。
原価とは収益と対応関係にあるものを言い、売上高に対応する原価を「売上原価」と呼びます。売上原価を考える上で最も大切なことは、「収益との対応関係」です。
費用は、売上とは個別の対応関係はなく、期間的に対応します。

主な費用としては、「販売費及び一般管理費」に集約される項目が挙げられます。
販売費及び一般管理費とは、商品や製品を販売するために必要な費用(販売費)と会社の業務全般を管理するために必要な費用(一般管理費)の合計額のことです。
基本的な原価(費用、損失)科目としては以下のものがあります
・売上原価:売上高と対応関係にあるコスト
・販売費及び一般管理費:本業にかかる販売費と業務全般を管理するための管理費
・営業外費用:本業以外の活動により経常的に発生する費用
・特別損失:本業では通常発生しない、臨時的に発生した金額的にも大きい損損失

■利益
収益から費用を差し引いた金額を示し、以下の5つに分けられます。
・売上総利益:売上高から売上原価を差し引いたもの
・営業利益:売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもの
・経常利益:営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いたもの
・税引前当期純利益:経常利益に特別損益を加え、特別損失を差し引いたもの
・当期純利益:税引前当期純利益から税金関連項目を差し引いたもの

損益計算書の見方 利益=収益ー費用

損益計算書は「経営損益の部」「特別損益の部」その他に分かれて記載されています。
会社の最終的な実績は、経常利益に特別利益や特別損失を加味して計算されます。
損益計算書を読む上で特に重要なポイントは「売上純利益」「営業利益」「経営利益」「税金等調整前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益になります。

■経営損益の部
経営損益の部は最初に損益計算書の最初に表示され「営業損益の部」「営業外損益の部」「経常利益」の3つに分けられ、本業による営業活動、本業以外の財務活動を含め、1年間でどれくらいの利益(または損失)が出たかがわかります。
それぞれの項目の中でさらに分かれるので、簡単にご紹介します。

・営業損益の部:項目は「売上高」「売上原価」「売上純利益」「販売費および一般管理費」「営業利益」に分けられ、その会社が本業によってどれだけの利益(または損失)を出したかがわかります。
・営業外損益の部:項目は「営業外収益」「営業外費用」に分けられ、その会社が本業以外の活動から生じる収益や費用として、どんなものがいくらくらいあるのかがわかります。
・経常利益:本業による営業活動、本業以外の財務活動を含め、1年間でどれくらいの利益(または損失)が出たかがわかります。

■特別損益の部
特別損益の部は「特別利益」「特別損失」に分けられ、会社の通常の活動では発生しないような臨時の利益・損失を示します。それぞれの項目に該当するものは次のようなものがあります。
・特別利益:不動産などの固定資産売却益、長期間保有している株式の売却益、債務免除による債務免除益など
・特別損失:固定資産除却損、株式の売却損、自然災害による損失など

経常利益に特別利益を加えて、特別損失を差し引きしたものが税引前当期純利益になります。

■その他
「税引前当期純利益」「当期純利益」に分けられ、税引前当期純利益では「法人税、住民税及び事業税」が引かれるものとして損益計算書に記載されます。

2回に分けて財務諸表の「貸借対照表」と「損益計算書」をご紹介しました。
貸借対照表は、決算時における会社の財政状態を示したものになります。損益計算書の「当期純利益」は、貸借対照表の純資産の部の「利益剰余金」を構成します。会社が利益を上げているかどうか、会社の健康状態を知るために必要不可欠な決算書です。

経理担当になったばかりの方で、決算書から入る方はまだ少ないと思います。作成するもととなる借方・貸方は、経理作業の基本になります。帳簿に日々の取引を記録することが、作成される決算書の貸借対照表と損益計算書につながっていることを覚えておきましょう。
借方・貸方について「伝票の借方・貸方とは」でご紹介していますので、よければ合わせて読んでみてください。

借方・貸方の仕分けで利用する伝票にはいろいろな種類があります。使い勝手の良いオリジナル伝票や今使っている伝票がなくなるから発注したいなどがあれば、伝票印刷どっとこむに気軽にご相談ください。